青森県青森市にある棟方志功記念館に行ってきました!お庭も校倉造の建物も大変美しく、貴重なビデオを見られて楽しかったです。
季節によって展示作品を入れ替えるため、展示数は多くありません。せっかくこのために青森まで来た方は、え!これだけ!?と拍子抜けしてしまうかもしれません。
作品自体も、有名作品が展示されている感じではありませんでした。東京や岡山の大原美術館とかのほうが、有名作品に出会えるのかも。
それでも志功の版画にどっぷりと浸かれる空間として、来てよかったと思いました。行き方や口コミ感想など詳しく書いていきます。
棟方志功とは?
棟方志功(むなかた しこう)は青森県青森市出身の板画家です。肉筆画や油絵も描きます。
海外で様々な賞を受賞したことから、日本でも価値を認められるようになった人です。
「板画」とは、棟方志功が「版画」だと何枚も擦れる商品みたいなイメージだから、板画のほうが芸術らしくてしっくりくる、ということで「板画」と呼んでいるそうです。
作品は板画や絵画のほか、文化会館などのホールの緞帳(どんちょう 幕)などの、巨大な作品の下絵も書いています。
棟方志功は、青森市生まれですが、富山県に疎開したり、岡山の詩人・柳井道弘氏と親交があったため、主な作品は、青森、富山、岡山で見れるようです。
棟方志功記念館とは?
棟方志功記念館は、青森市松原にある棟方志功の私費で建てられた記念館です。
参考:棟方志功記念館|公式木を組み合わせた美しい校倉造(あぜくらづくり)の建物で、目の前の日本庭園との組み合わせがとても美しいです。
建物はそれほど広くないので、作品はたくさん展示されていません。
季節によって様々な作品を入れ替えて展示しているようで、遠くから来られた方は、せっかく本場に来たのに物足りないという印象を受けるかもしれません。
それでも、志功の制作風景ビデオや美しい日本庭園、どっぷりと志功の世界に浸かれるという点では、やはり来てよかったと思えます。
館内は撮影禁止なので、写真はありません。
入場料:500円
展示数が少ないので、500円が高いか相応か感じるのはその人次第ですね。
見学の所要時間は30分~1時間程度です。
トイレはウォシュレット付きの洋式トイレもひとつあります。
手を拭くペーパータオルなどはないので、ハンカチを忘れないように。
行き方
棟方志功記念館は、青森駅から少し離れた場所にあります。
参考:アクセス|棟方志功記念館公式青森市は基本的に車社会なので、バスかタクシー、または観光バス・ねぶたん号を使うと便利です。
参考:観光バス・ねぶたん号美しい外観
棟方志功記念館は、棟方志功の私財を投じて建てられました。
青森市には珍しい、きちんと整えられた日本庭園が美しいです。お庭の池と校倉造の建物の幻想的な雰囲気もまた美しい。
入場してみる
狭い場所なので静かに入場しましょう。
ビデオ上映
38分間のビデオが上映され、棟方志功の板に食いつくような、のびのびと楽しそうな制作風景などを納めていて、とてもおもしろいビデオでした。
ただ、津軽弁がわからない人にはビデオでは何言ってるか全くわからないでしょう。字幕ぐらいつければいいのに‥。
棟方志功の朗らかで穏やかで楽しいことが大好きな子供のような性格が見れてよかったです。
それでいて、本質を直感で見抜く感覚が鋭い、という感じ。
ただ、変わった人だなーという印象はあるので、今だときっとコミュ障とかアスペとか空気読めないとか言われちゃいそうな気もしないでもありません。
展示内容
志功が使っていた彫刻刀などが展示されています。
壁一面に東海道棟方板画が100枚くらいドカーン!と展示されていました。
他にも、刷るのに使った板や、ふすま絵、グランドピアノ(志功は弾けないので誰かに弾かせた)、書道、宗教板画(柵)、油絵などが展示されています。
書道は達筆ないい字で驚きました。
油絵のタッチはやはり志功さんらしい心のままに描いたワクワクモリモリ楽しい筆使い。
私が思う棟方志功の真骨頂は、カラー板画ですが、カラー板画は少なかったのが残念でした。
展示内容は季節によって変わるそうです。またその時を楽しみにしておこう。
筆塚
外のお庭には、筆塚という、使った筆を納めた祠があります。
鎌倉から移転してきたものだそうで、どれだけいろんな地域と親しかったんだと驚きます。
青森市民と棟方志功
青森市出身の私にとっては、棟方志功の絵や版画には、学校や文化会館など近所に子供の頃から自然と近くにあったもので、それほど価値のあるものだとは思っていませんでした。
大人になっていろいろな芸術に触れてみると、棟方志功の迫力ある力強い構図や魂のこもった太い線、カラフルなのに純粋さや優しさを感じる色づかいは、デザイン性に優れ、他にはないものだなーと、改めて見直すようになりました。
祖母は子供の頃、棟方志功の近所に住んでおり、「しこうさん、しこうさん」と呼んで遊んでいたそうです。人形に目や鼻を描いてもらったりして、子供達に慕われていたそうです。
ああ、その人形があれば今頃どんな価値‥?なんて。
青森市の小学生は、図工の時間にひたすら板画を掘らされます。
私は版画を見るのは好きですが、作る作業はゾリゾリとして時間がかかるので嫌いです。
あんなに版画を掘らされたのは、棟方志功のせいだったようです。
かつては棟方志功が小学生版画コンクールの審査員を務めていたそうで、2日で15000点もの作品を楽しそうに審査していた姿のビデオは印象的です。
まとめ
2017年、神奈川県民ホールに展示されていた棟方志功のカラー板画が、いつのまにかカラーコピーにすり替わっていたという哀しいニュースがありました。
やはり志功の板画は価値があるのだと改めて思わされた事件ですが、本物は何処へ‥。
棟方志功記念館は、カラー板画が少なかったため、やはりお目当のものが見れたぞ、という満足感は足りなかったなと思います。
もしかしたら、岡山県津山市の棟方志功・柳井道弘記念館(M&Y記念館)のほうがたくさんあるのかな‥。
機会があれば、そちらにも足を運んでみたいものです。
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