ニューヨークのブロードウェイでミュージカル・ウィキッドを観てきました!
会場は大きくて、演出は派手で妖しげで美しくて、緩急があって、これぞミュージカル!って感じでした!
ウィキッドは「オズの魔法使い」の裏話で、悪い魔女が主人公のお話です。
単純に驚かされることも多く、印象操作された世界という、現実を皮肉ったような裏テーマ?が、ウィキッドというミュージカルに奥深い印象を持たせます。
一見楽しい子供向けのように見えるけど、モヤモヤさせられる怒りや諦めのような気持ちが湧いてきて、大人の方でも絶対おすすめです!
ウィキッドはニューヨークのブロードウェイとロンドンで公演が行われていますが、この記事ではブロードウェイ版の感想や口コミを書いていきます!
ウィキッドとは?
ウィキッドは、オズの魔法使いのアナザーストーリーのミュージカルです。
2017年現在では、ニューヨークのブロードウェイと、ロンドンで公演されており、2003年から上演される人気ロングラン公演です。
過去には日本の劇団四季も日本語で公演を行っていましたが、現在は行われていません。
そのため、ウィキッドを見るには海外で英語のみとなります。私は英語は苦手ですが、Youtubeなどの動画や音楽CDや日本語のストーリー紹介サイトを利用して予習し、ブロードウェイ公演に臨みました。頑張って予習したおかげで、ミュージカルをとっても楽しむことができました。
ストーリー
ウィキッドは、オズの魔法使いの悪い魔女エルファバが主人公のお話です。
エルファバは緑の肌に生まれてしまったせいで、家族からもうとまれ、周りにいじめられたりして辛い日々を過ごします。
大学の学生寮でルームメイトとなった南の良い魔女となるグリンダともいがみ合っていましたが、ひょんなことから良い親友になります。
エルファバは強い魔力があるために、オズの魔法使いの悪事に利用されそうになりますが、エルファバは、優しい心と強い正義感からオズの魔法使いを拒否します。
するとオズの国で最も強い権力を持つオズの魔法使いは「エルファバは裏切り者だ!悪い魔女を捕らえろ!」という号令を発し、国民を誘導します。
恋人フィエロが必死にエルファバを守ろうとしますが、エルファバが誤って?フィエロをカカシに変えてしまいます。
エルファバはドロシーに水をかけられて溶けた振りをし、なんとか生き延びます。
親友のグリンダが、オズの魔法使いの悪事を暴いて追放しますが、親友エルファバを悪者に仕立てることでオズの国の混乱を治め、オズの国はめでたしめでたし。
という、弱者が虐げられる胸くその悪い話です。
場所
Gershwin Theatre
222 West 51st Street New York, NY
予約方法
2か月前以上の余裕があるならブロードウェイドットコム(broadway.com 英語)から予約できます。
直前なら
私はニューヨークに行く2週間前にウィキッドを観ようと決めました。
普通に公式サイトで購入しようとしましたが、2週間前ではもう座席は15列目以降の後ろの席しか空いていませんでした。
せっかくニューヨークまで行くならと思い、ニューヨーク現地代理店のあっとニューヨークさんにお願いしたところ、手数料は多少かかりましたが、直前なのに前から3列目のど真ん中という最高のプレミア席を確保してもらいました!
プレミア席の予約は恐らく手数料は30ドルくらいかかってしまいましたが、直前だけど、お金はかかってもいい席で観たい!という方には、現地代理店に頼むのがおすすめです!
直前でなく、余裕がある時期ならいい席でも超割引で購入できます。オペラ座の怪人は60ドル以上安く購入できちゃいました!
感想口コミ
ブロードウェイミュージカルってシカゴとかオペラ座の怪人とかは会場が古くて小さくて結構ビックリしたんですが、ウィキッドは会場がとても大きくて、綺麗でした。
はじまってみると最初からド派手な始まりで、ワクワクドキドキさせられます。
「悪い魔女が死んだぞ!いいニュースだ!」「悪いことをしたヤツが死んだって誰も悲しまない」と、子供への教訓めいた心地よい勧善懲悪の話なのかという感じでスタートしますが、蓋を空けてみればなんとも胸くその悪い話!!
怪しげながらも清々しい音楽がクセになります。捨て曲なし!ミュージカルならではのセリフを適当に歌うだけの歌はなく、全曲が名曲です!
衣装や演出や舞台装置も奇抜で、影絵を利用した絵本のような舞台は美しくも少し怖くて強い印象を残します。
初代キャストでは、主人公の悪い魔女エルファバは、アナ雪のエルサ役で有名なイディナ・メンゼルだったようです。イディナメンゼルのCDや動画などを先に見ていた私には、現地で観たキャストは少し物足りなく感じました。
イディナ・メンゼルの命を削るような歌い方は、やはり圧倒的なんですね。彼女で観れた方をとてもうらやましく思います。
驚きがたくさん!
しかけやストーリーに驚かされることがたくさんです!※ネタバレです!
オズの魔法使いの登場人物たちの正体や裏話が面白い!
- エルファバの妹の車椅子が勝手に動く!
- 羽根の生えたサルはクラスメイト!?
- ブリキの正体は妹の好きな人!
- カカシの正体はエルファバの恋人!!
- オズの魔法使いはエルファバの父!
エルファバは優しい心の持ち主で、必死に良いことをしようと努力しているのに、全てが裏目に出ます。
- クラスメイトをサルに変えたっぽいのはエルファバ!
- ライオンはエルファバが助けたのになぜかエルファバを怖がってしまう!
- サルに羽根を生やしたのはエルファバ!
- 赤いルビーの靴は車椅子の妹のためにエルファバが作った靴!をドロシーが分捕ったもの!
- 妹の好きな人をブリキに変えたのはエルファバ!
- 自分の恋人をカカシに変えてしまったのもエルファバ!
エルファバは悪いことをしようとしたわけではなく、様々な事情で必死に大切な人たちを助けようとした結果、すべてが悪い方に転がってしまいます。
エルファバはやっとやってきたチャンスに、素敵な未来を夢見るのに、なんでだかどんどん悪い方に突き落とされます。
そして最大のエルファバの過ち?は悪事を止めようと、オズの魔法使いという権力者に逆らったこと。
権力者に逆らったために、悪者として印象操作され、追われる身になります。
結局、いじめられて生きてきたけれど、正しく生きようとしたエルファバが悪者として迫害されて姿を消して、物語は終わります。
車椅子だけれども必死に生きた妹も殺されます。
この姉妹は、親が変な薬をやってたせいでこのような不遇な姿に生まれるのですが、必死に正しく生きようとしたのに残酷な結末になります。
長いものに巻かれるのが上手な南の魔女グリンダが、親友エルファバを悪者としておくことで、オズの世界の混乱を治めます。
映画ダンサーインザダークを見た時のような、胸くその悪い話なんですが、清々しいド派手な演出により、一見なんとも明るいミュージカルなんです。
ストーリーの残酷さと、明るいド派手な演出が、なんとも言えない気持ちにさせられ、不思議な魅力を醸し出しています。
これだけの内容の濃いものが、2時間半の中にギッシリビッシリと詰まっていて、本当に見応えがあります。
歌詞が深い
歌の歌詞がまた内容が深く、現実を皮肉るような歌詞が多く、面白いんです。
参考:Wicked Number 歌詞ブロードウェイ版- 人気者になるには適正は関係ないのよ。国政のトップや偉大な人たちは脳みそや知識があったと思う?どう見られるかなのよ。
- 私は自分が凡人だと知っているが、民衆がワンダフルな私を求めたからワンダフルを演じている
- みんな真実ではないことを信じていたよ。反逆者は解放者。金持ちは泥棒。結局はどっちの名前が残るかということ。人はそれを歴史と呼ぶ。
- (単なる人間のエルファバに対して)蛇のように脱皮するらしい!水で溶けるらしい!
- 鳥が種を運ぶように、良いことだって誰が言えるの?
噂や言われたことを自分で判断することもなくそのまま信じる愚かな民衆と、その民衆の愚かさを知っていてそれを利用する人たちが対比されます。
確かに、歴史は争いに勝ったほうが自分の都合の良いように残していくものだし、流行なんて所詮デザイン業界の偉いオッサンやオバサンが自分たちが売りたいものを流行りとして作っているもの。
自然に流行ったり出来事が起きるわけではなく、必ず誰かが仕掛けて世の中は出来ているんですよね。
歴史や報道、噂や流行に対して、印象操作されるのではなく、自分の判断や現実を見る力、本質を見抜く力をしっかり持つ大切さのような教訓が感じ取れます。
特に近年のネット社会は、情報が多すぎて操作されやすい社会になってきていますから、流されることなく、しっかりと知識をつけ、疑問をもち、自分の判断基準をもつことが大切になってきていますね。
あくまで私の感想ですが、ウィキッドは一見楽しいド派手なミュージカルですが、大人もモヤモヤさせられる奥深いミュージカルです!
ぜひ、ロンドンかニューヨークに行くことがあれば、観ることをオススメします!
参考:ロンドン版 参考:ブロードウェイ版
既に指摘されていたら申し訳ないのですが、ただ一点、エルファバがフィエロをかかしに変えたのは「自分を庇って連れていかれたフィエロに拷問の痛みを感じさせないため」「フィエロを死なせないため」だと思われます。
日本でもまた公演して欲しいですよね…